多摩モノレール町田延伸 気運醸成・町田市商工会議所”未来駅プロジェクト”
2021-03-25多摩都市モノレール町田方面延伸の事業化に向けた機運の醸成を図るため、町田商工会議所 都市整備まちづくり委員会(委員長 渋谷俊德)ではとあるプロジェクトが進められている。その名も“多摩モノレール町田延伸 未来駅プロジェクト”。
多摩モノレール町田延伸想定ルート上に配置されるであろう新設駅のうち4駅をピックアップし、各駅のデザインテーマと周辺環境ならびに道路形状を前提条件とした駅デザインを作成するというもの。この程、4駅のデザイン画が完成し内容の確認作業が行われた。完成したデザイン画は小山田緑地駅、木曽山﨑駅、町田市民病院駅、町田駅の計4駅(いずれも仮称)。それぞれのデザイン画およびテーマ、特性を以下に示す。
(1)多摩モノレール町田延伸“未来駅プロジェクト”
1.小山田緑地駅
①デザインテーマ
・新緑の若葉をモチーフとした駅⇒駅前面ガラスは緑色に着色し、骨格を葉脈状に配置した形状を採用。(小山田緑地の木々の葉をイメージ)。3階コンコースからは、小山田緑地公園へ直接移動が可能な通路を設置。
②駅構造設定
・駅構造 2面2線相対式駅
GL層:ホーム階 (および道路)、3階:コンコース階(通路敷設)4~5階:未設置・吹き抜け
※駅構造はデザイン上の仮定のものであり、同計画として進行しているわけではありません。
③取材によるデザイン画設定
・トンネル出口擁壁と一体として整備。・現段階で都市計画無し。現地取材の結果、小山田緑地公園等を代表とする公園整備が進んでいる印象。・現地は高低差があるため、駅(および都市計画道路)前後は、将来トンネルの建設が必要というイメージ。⇒トンネル併設型の駅とする。
2.木曽山﨑駅
①デザインテーマ
・モチーフは、街に溶け込む駅。駅支柱は側面に配置。現地取材時、道路周辺の街路樹が整えられている事に着目、支柱表面およびアクセントカラーに木目を採用し周辺景観との親和性を持たせた。駅下半分が掘割構造内に収まっている(弊害として遮光性が高い)。→採光を持たせるため、駅外壁を湾曲させ側面全体をガラス面とする。構造上、従来設置されるべきコンコース階がホーム階と同階層となるため、外観は比較的小ぶり。
②駅構造設定
・駅構造 2面2線相対式駅
GL層:道路 2階層:ホーム階 掘割両側通路先端コンコース (改札・駅務員施設)
※駅構造はデザイン上の仮定のものであり、同計画として進行しているわけではありません。
③取材によるデザイン画設定
・木曽団地、山崎団地周辺道路は掘割構造を基本としている。→モノレール駅コンコース層を掘割上部に設定し、団地GLと駅コンコースを同階層とする。掘割内に主要構造物をはめ込み、車両からののぞき込みを嫌う周辺住人へ配慮・低騒音駅とする(イメージ)。・駅改札は掘割上部、道路両端側に設置し、駅構造はホームのみで構成。
3.町田市民病院駅
①デザインテーマ
・モチーフは、開放・病院の玄関駅。町田市民病院のエントランスの造形を参考に、ガラスとパイプ支柱主体の駅デザインとした。駅施設は病院の入り口を一部加工し、病院の入り口としても、駅としても機能させる。
②駅構造設定
・駅構造 2面2線相対式駅、GL層:コンコース(道路)、2階層:ホーム階(および病院へのデッキ)
※駅構造はデザイン上の仮定のものであり、同計画として進行しているわけではありません。
③取材によるデザイン画設定
・町田市民病院の公共交通機関用玄関口として機能(正玄関は従来通り車による通院等を基本)。
4.町田駅
①デザインテーマ
・テーマは都心・駅と空中回廊の一体。JR町田駅および周辺ビルとは、上層ペデストリアンデッキで接続。基本的に室外へ出ず目的地へ移動が可能。駅前の下層ペデストリアンデッキと上層ペデストリアンデッキは、要所要所で接続される他、クリスタルブリッジと同層に位置、クリスタルブリッジとも接続。駅周辺の支柱はアーチ型採用。アーチ型支柱にはガラス屋根が設置され、下を歩く歩行者へ遮光する事無く、雨除け機能を有する。
②駅構造設定
・駅構造 2面2線相対式駅、4-5階部:コンコース階および上層ペデストリアンデッキ接続階、6階:ホーム階 ※東急ツインズ階換算
※駅構造はデザイン上の仮定のものであり、同計画として進行しているわけではありません。
③取材によるデザイン画設定
・駅構造は多摩モノレールの従来タイプを踏襲。ただし、現行の下層ペデストリアンデッキの他、モノレール駅およびクリスタルブリッジの階層を主とする上層ペデストリアンデッキによる建物間接続により、周辺施設を一体的に移動できる構造とした。
5.一体型町田駅
同委員会では、JR町田駅とモノレール町田駅とが一体整備された場合のデザイン画も作成した。それぞれレトロテイスト風、未来風、現代風の3デザインが委員会において示された。
延伸には地域の気運の醸成が重要である事から、町田商工会議所 都市整備まちづくり委員会においても諸所の活動を展開。一昨年までの期間においても、動画作成(DVD化して市内で配布)、キャッチフレーズ募集キャンペーン、オリジナルポスターの作成、モノレール貸し切りイベント、町田市役所での展示会などを実施、そして今回、さらに延伸ルート上の気運醸成に踏み込んだ、未来駅プロジェクトを始動した。町田商工会議所 都市整備まちづくり委員会では今後、当デザイン画を用いた各種の機運醸成活動を推進していく。
(2)多摩モノレール町田延伸
多摩モノレールは、多摩市の多摩センター駅から小山田桜台団地や町田山崎団地を経由し、町田市原町田のJR町田駅までの延長約13kmが想定される延伸ルート。
モノレールはレール(軌道)および支柱などのインフラ部分が「道路構造物」としての扱いとなるため、導入空間となる幅員25mの都市計画道路の建設が必要。既に導入空間を確保しているのはこのうち7㎞。既に道路は設置済であるものの、幅員の拡大が必要な区間が約2㎞。都市計画道路の整備が必要な区間が約2㎞となっている。
町田方面への延伸計画は、交通政策審議会がまとめた答申で「意義あるプロジェクト」に選定されており。答申の中で「事業化に向けて関係地方公共団体・鉄道事業者等において具体的な調整を進めるべき」と示され、事業化に向けた調整段階に入っている。
導入区域となる町田市では石阪丈一市長が32年度の開業に意欲を示す。同市では現状道路計画がない区間を中心に、延伸想定ルートの調査・検討作業を進めている。モノレール町田方面延伸の総事業費は約1700億円。