
エジプト・新行政首都線(東ナイル線)段階的試運転を開始─本格稼働は2026年へ
2025-06-16エジプト政府は、新行政首都(New Administrative Capital)とナスル・シティを結ぶモノレールの運行に向けて、2025年7月から本格的な試運転を開始することを発表しました。この試運転はまず、行政首都内の「キャピタル・ステーション(Capital Station)」から「エル=モーシル駅(El‑Moshir Station)」までの区間で実施されます。最初の段階では乗客を乗せず、運行システムの安全性や正確性を確認することが目的とされています。試運転の範囲は段階的に拡大され、同年末にはナスル・シティに位置する「カイロ・スタジアム駅」までの延伸が予定されており、2026年初頭には全線での試運転と本格的な運行開始が視野に入れられています。
このモノレールプロジェクトは「東ナイル(East Nile)ライン」として全長56.5km、22駅を有し、カイロの都市圏と新行政首都を結ぶ重要な交通インフラとして位置づけられています。また、将来的には「西ナイル(West Nile)ライン」と合わせて全長約100km、35駅の路線網を形成する計画であり、これは世界最長の無人モノレールネットワークのひとつとなる見込みです。
運行システムには最先端の自動運転技術が採用されており、車両には運転士が乗らず、全ての列車が新行政首都に設置された中央制御センターから遠隔操作で管理されます。各車両には内部および外部の監視カメラ、センサー、火災および煙探知器、通信システムなどが装備されており、高度な安全対策が施されています。これにより、利用者の安全性と快適性が最大限に確保されるよう設計されています。

この国家的プロジェクトの建設と実装は、フランスの交通機器メーカーであるアルストム(Alstom)、エジプトの大手建設会社オラスコム・コンストラクション(Orascom Construction)、およびアラブ・コントラクターズ(Arab Contractors)という3社によるコンソーシアムが担当しています。彼らは2019年から2020年にかけて本格的な建設に着手し、現在に至るまでインフラ整備を着実に進めています。
このモノレールは、新行政首都プロジェクトの中核的要素であり、急速に都市化が進むカイロ地域において交通渋滞を緩和し、通勤時間の短縮や都市間移動の効率化を図ることが期待されています。最終的には、モノレールによってカイロ首都圏と新行政都市の間のアクセスが飛躍的に向上し、都市全体の機能強化につながるとされています。
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