ディズニーリゾートライン~祝・開業20周年!コロナ渦中の今は?~

ディズニーリゾートライン~祝・開業20周年!コロナ渦中の今は?~

2021-09-02 0 投稿者: mjws編集
東京ディズニーシー・ステーションに進入する新型車TYPE-C(100形)<ピンク>

東京ディズニーリゾートを取り囲むように走る「ディズニーリゾートライン」。
2021年7月27日、開業20周年を迎えました。
しかし、前年に続きコロナ渦中で迎える夏休み。
パークの入場制限や営業時間の短縮が続く中、ディズニーリゾートの現在が気になりますよね?
ご安心ください。ディズニーリゾートラインは毎日元気に走っています。
昨年夏から新型車の導入も始まり、気になる最近の状況を交えながらご紹介します。

リゾートゲートウェイ・ステーションにて開催の20周年企画展
Contents
1.ディズニーリゾートラインの概要・歴史
2.ディズニーリゾートラインの車両①~置換えが進む従来車~
3.ディズニーリゾートラインの車両②~導入が進む新型車~
4.ディズニーリゾートラインに乗ってみた!
5.ディズニーリゾートライン20周年記念企画展
6.まとめ  

ディズニーリゾートラインの概要・歴史

リゾートゲートウェイ・ステーションに進入する新型車TYPE-C(100形)<イエロー>

独特の車両の仕様、駅のデザイン…
ディズニーリゾートラインは「遊戯施設」の一つに間違えられることがあります。
しかし公道またぐのでれっきとした「鉄道路線」になります。
運行会社である「舞浜リゾートライン」は「第一種鉄道事業者」(自社で路線・車両を保有して、自社で旅客輸送を行う会社)です。
他の鉄道会社と異なる特徴を見ていきましょう。


ディズニーリゾートラインの概要

▼運行会社:株式会社舞浜リゾートライン
東京ディズニーリゾートを運営する
オリエンタルランド株式会社100%出資の子会社。

▼営業キロ:5.0㌔、全線単線

▼運行方法:跨座(こざ)式モノレール
跨座(こざ)式とは?
1本のレール(モノレール)の上に車両が
「跨り(またがり)」
「座って」いるような形式のモノレールです。
東京モノレール、大阪モノレール、沖縄の「ゆいレール」などにも採用されています。

「跨座式」は車体がレールにまたがり、レールの上と両脇をゴムタイヤで挟むように走る

▼電気方式:直流1,500ボルト

▼駅数:4駅
①リゾートゲートウェイ・ステーション
②東京ディズニーランド・ステーション
③ベイサイド・ステーション
④東京ディズニーシー・ステーション
全駅ホームドアが完備

▼運行形態:反時計回りの片道・周回運行。
①リゾートゲートウェイ・ステーション→②東京ディズニーランド・ステーション→③ベイサイド・ステーション→④東京ディズニーシー・ステーション→①に戻る

▼運行間隔:4~13分間隔。時期や時間帯によって変わります。

▼運賃:均一制で大人(中学生以上)260円、小人(小学生)130円
※幼児(1才以上小学生未満)は乗車券を大人の旅客1名に対し2名まで無料
※乳児(1才未満)は無料
※ICカードの利用も可能
※1日乗り放題の「1日フリーきっぷ」(大人:660円、小人:330円)もあり、
 他に2・3・4日用も設定があります。

▼従業員
東京ディズニーリゾートでは
来客者のことを「ゲスト」
スタッフのことを「キャスト」
と呼称します。
これにならって、ディズニーリゾートラインでは
運転手のことを「ドライバーキャスト」
車掌のことを「ガイドキャスト」
駅員のことを「ステーションキャスト」
と呼称します。

▼保安装置・運転方式
自動列車制御装置 (ATC) 併用自動列車運転装置 (ATO)

ディズニーリゾートラインの特徴は
先頭車に「運転台」がないこと、そして
「ドライバーキャスト」が通常乗っていないことです。
これはディズニーリゾートラインが「自動運転」だからです。

実は、進行方向側の先頭車に「運転台」はあります。
通常は格納されており、見えないようになっています。
非常事態など必要に応じて取り出し、使用できる仕組みです。
よって日頃は前面展望が楽しめるように開放されています。

先頭車の展望席。鍵穴が見えるカバーの中に運転台が格納されている

逆に、最後尾の車両に「運転台」があります。
乗務するのは通常「ガイドキャスト」のみです。
「ガイドキャスト」が扉の開閉と発車ボタンを押下し、列車は自動で動き出します。

最後尾よりガイドキャストが安全確認を行い、発車ボタンを押下すると列車が発車する

ディズニーリゾートラインの歴史

1992年10月
1983年に「東京ディズニーランド」開園。
国内のテーマパークとして不動の人気になります。
その人気におされるように、第二のテーマパーク、
「東京ディズニーシー」の建設計画が発表されました。

1997年11月
東京ディズニーシーの開業にあわせ、
2パークを取り囲む形でモノレールが建設されることが発表されました。
これが後の「ディズニーリゾートライン」です。

2001年7月27日
ディズニーリゾートラインが開業。
出発式にはミッキーマウス・ミニーマウスも訪れ、華やかな式典に。
同年9月1日には「東京ディズニーシー」がグランドオープン。

開業20周年記念企画展のパネルより。開業日の様子を写した写真

2011年3月11日~4月1日
東日本大震災の影響を受けて運休に。開業以来初の長期運休。
4月2日から運行を再開になります。
しかし、原発事故による電力供給不足から
運行本数を約5割に減らしての再スタート。

2010年7月3日
2020年2月7日、新型車の第1編成「TYPE-C(100形)<イエロー>」が
同年5月21日から運行開始する旨が発表されました。
しかし、直後に新型コロナウイルスの感染が拡大。
東京ディズニーリゾートは同年2月29日より休園となり(同年6月30日まで)
あわせて同編成の運行開始日も延期に。
そして予定より約1ヵ月半遅れのこの日から運行開始されました。

2021年7月27日 
開業20周年を迎えました。
同時にキャストの制服も通算3代目となる新たなデザインのものに一新されました。

開業20周年を境にキャストの制服が一新

ディズニーリゾートラインの車両①~置換えが進む従来車~

東京ディズニーシーステーションへ向かうTYPE-X(10形)<パープル>

ディズニーリゾートラインが開業した2001年7月より運行している車両です。
6両×5編成、計30両導入されました。

TYPE-Xの「X」はローマ数字で「10」を示すことから、
10形電車→TYPE-Xと表記されます。
後継車のTYPE-C(100形)の導入が始まり、
入れ替わる形で3編成(<イエロー><ピンク><ブルー>)は運用を離脱。
2021年7月末現在、2編成(<パープル><グリーン>)が稼働しています。

次に車両の特徴を見ていきましょう。

<外観>
一番の特徴はミッキー型の窓枠
従来の鉄道車両とは一線を画したデザイン。
ディズニーの世界観が表現されていますね。
ディズニーのファンのみならず鉄道ファンの心も引き付けられます。

また前面から車体中央部分に波型の模様が施され、
5編成それぞれカラーが異なります。

そしてこの5つの色にはそれぞれ意味が込められていています。

・グリーンは「安全安心」
・パープルは「想像力」
・ブルーは「信頼」
・ピンクは「幸福感」
・イエローは「好奇心」

ちなみにこの5色は
運行会社「舞浜リゾートライン」のコーポレーションマークにも採用されています。

<車内>
一番の特徴は座席です。
ロングシートの中央部分が弧を描くようにせり出しています。
ホテルのロビーにあるソファーを想像させますね。
来園したゲストへの「癒し」と「おもてなし」をかもし出すほか、
隣どうしが顔を見合わせて座れるように工夫がしてあります。
そして、つり革の握り部がミッキーの形になっているのも特徴です。
また、安全面および乗車時間の短さから「網棚」は設定されていません。
天井がすっきりとしている感じです。

特徴的なシートが目を引く

外観も車内もメルヘンチックなディズニーリゾートラインの車両。
しかし、1編成あたり6両編成という長さ、そして車体の大きさは、
モノレールで日本一の輸送力を誇る東京モノレールの車両と
大差がありません。

下記にまとめてみました。

1編成あたり ディズニーリゾートライン (TYPE-X)東京モノレール (10000形)
車両数 6両編成6両編成
編成定員537名456名
編成長84.9m93.6m
車体幅2.9m3.0m
車体高3.8m4.4m
最高運転速度50㎞80㎞

1編成あたりの定員は、何と東京モノレールより80名ほど多いのです。
ちなみに新型コロナウイルス感染拡大前、
2019年度のディズニーリゾートラインの輸送人員は年間約2,205万人
1日平均で換算すると6万人以上の利用者がいることになります。
いかに利用者が多いか、この数字を見ると明らかですね。


ディズニーリゾートラインの車両②~導入が進む新型車~

東京ディズニーシーステーションに進入するTYPE-C(100形)<イエロー>

TYPE-X(10形)の後継車として登場したのがTYPE-C(100形)です。
TYPE-Cの「C」はローマ数字で「100」を示すことから、
100形電車→TYPE-Cと表記されます。
 
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、
当初の予定(2020年5月21日)より約1ヵ月半後の2020年7月3日にデビュー。

デビューまでの間、心待ちにしているゲストやファンに向けて、
列車が製造されるところから車両基地へ搬入されるまでの様子が
公式YouTubeで紹介され、話題になりました。

※公式YouTubeはこちら
 https://www.youtube.com/watch?v=7zLeYRfMeaU

導入は順次進められており、 
第2編成の<ピンク>は2021年1月23日より運行を開始。
第3編成の<ブルー>も2021年5月、車両基地へ搬入されており、現在運行準備中です。
残り2編成も2024年までに導入される予定です。

<外観>
先代のTYPE-X(10形)を踏襲する形です。
ミッキー型の窓枠も先代から引き継がれています。
車両中央部の波型模様と5色のカラーも踏襲されていますが、
白地と波型模様の間に薄い帯が加えられ、アクセントになっています。

<車内>
一方、車内の仕様は大幅に変更されました。
座席はロングシートになりました。
背もたれが赤地に黄色の水玉模様、
シート部分は黒地で、
ミッキー型の窓枠と一体となり、ミッキーの胴体部分を連想させます

握り部がミッキーの形であるつり革も先代より踏襲しています。
しかし、長さ(握る位置)が数パターン用意されており、
背丈の違うゲストに合わせて握りやすい仕様に変更されています。

従来車と比べカラフルで装飾も増えた車内。長さが異なるつり革にも注目

その他にも、ドア横の手すりなどにも装飾が施され、
全体的にかわいらしいデザインに変更されました。
パークを訪れるゲストは
一足早くディズニーの世界へ飛び込んだ気分になるでしょう。

車椅子やベビーカー用のバリアフリースペースも拡充され、
人にやさしい仕様になっています。


ディズニーリゾートラインに乗ってみた!

限定20,000枚で発売された開業20周年記念きっぷとダッフィー柄のフリーきっぷ(左上)

ディズニーリゾートラインを楽しむには「フリーきっぷ」がお得です。
乗り降り自由で1日~4日用の設定があります。
また、フリーきっぷは期間によってデザインが変わります。
よってディズニーファンやコレクターにも人気です。
ちなみに今回購入したフリーきっぷはダッフィーの柄です。


リゾートゲートウェイ・ステーション→東京ディズニーランド・ステーション

リゾートゲートウェイ・ステーションは
JR舞浜駅南口を出て左側、徒歩約2分の場所にあります。
ホームは線路を挟む形で、乗車専用と降車専用の二面に分かれています。

さあ、さっそく列車に乗りましょう。
乗車専用ホームに着くと、滑り込むように新型車TYPE-C(100形)が入線。
せっかくなので先頭車に乗車しましょう。
一番前は前方展望が楽しめるよう開放された特等席。
子どもたちのみならず、大人にも人気です。

列車が走り出し、駅を出ると、
ふわりと空へ飛び出したような気分。
モノレールならではの感覚に心がウキウキします。

人々で賑わうJR舞浜駅前を下に見ながら進みます。
やがて車内放送が流れ始めました。案内の最後に
「やあ、みんな元気かい?」
どこかで聞いた声が…。
そう、ミッキーからのメッセージです。
開業20周年の2021年7月27日より新型車TYPE-C(100形)に乗車すると、
このミッキーのメッセージが聞けるのです。
ディズニーテーマパークのモノレールとしては世界初の企画。
パークへ向かうゲストにとっては、ワクワク感が増しますね。

かわいいミッキー型の窓からシンデレラ城を望む

進行方向左手に東京ディズニーランドの象徴・シンデレラ城が見えると
東京ディズニーランド・ステーションへ。
ホームではステーションキャストの方が手を振ってお出迎えです。


東京ディズニーランド・ステーション→ベイサイド・ステーション

東京ディズニーランド・ステーションのホームは乗車・降車共通の片面一面のみです。
駅舎はヴィクトリア朝様式のデザインが取り入れられた優雅な建物。
東京ディズニーランドのメインエントランスと
東京ディズニーランドホテルの間に位置しています。
夏休み期間中ですが、パークの入場制限があるため、人影もまばらです。

さあ、次に進みましょう。
東京ディズニーランド・ステーションを出ると、
左手に大型の駐車場が見えてきます。
本来であれば、大型観光バスで埋め尽くされているはずの駐車場。
バスの姿は1台も見当たりません。
閑散とした駐車場の上を、モノレールは滑るように走ります。

閑散とした大型バス専用駐車場の上を進む

目の前にオフィシャルホテルが見えると
次のベイサイド・ステーションです。


ベイサイド・ステーション→東京ディズニーシー・ステーション

ベイサイド・ステーションを出るオフィシャルホテル行のシャトルバス

ベイサイド・ステーションのホームも片側一面のみ。
駅舎は海辺の雰囲気が漂う明るくポップなデザイン。
多くのガラスが用いられ、ホームにも日が差し込んできます。

オフィシャルホテル周辺にはヤシの木がたくさん植えられています。
「舞浜」の地名は、ディズニーリゾートの本場である
アメリカ・フロリダの州都「マイアミ」になぞらえて命名さました。

ベイサイド・ステーションは
そんなリゾート感いっぱいのオフィシャルホテルへ向かうバス
「ディズニーリゾートクルーザー」との接続駅です。
中央扉に大きなミッキーの柄があしらわれたバスが次々と発着します。
ホテルへ向かう家族連れや女性のグループ客の姿もちらほら見られます。

さて、次へ進みましょう。

ベイサイド・ステーションより。東京ディズニーシーのシンボルプロメテウス火山を望む

ベイサイド・ステーションを出ると
目の前に東京ディズニーシーのシンボル・プロメテウス火山の頂上が見えます。
モノレールはしばらくして右にカーブ。
すると目の前に海が見えてきます。東京湾です。

今度は海の手前で左へ90度曲がり、東京ディズニーシーの脇を走ります。
左手にコロンビア号の大きな船体や
絶叫アトラクション「タワー・オブ・テラー」の建物が見えてくると、
さらに左へ90度曲がり東京ディズニーシー・ステーションへ滑り込みます。

ミッキー型の窓からを望むプロメテウス火山

東京ディズニーシーステーション→リゾートゲートウェイ・ステーション

広い構内の東京ディズニーシー・ステーション。向かって左が降車ホーム、右が乗車ホーム

東京ディズニーシー・ステーションのゆったりとした広い構内。
ホームは線路を挟む形で二面あり、
乗車用と降車用に分かれています。

駅舎は同じ古き良きイタリア・トスカーナ地方の建物をモチーフにしており、
周辺の東京ディズニーシー・ホテルミラコスタなどと一体となって、
タイムトリップしてきた気分になります。
列車を降りた家族連れ、カップル、女性グループ…
みんな笑顔で、パークに引き込まれるように消えていきました。

さあ、最後の一区間に乗車しましょう。
今度は最後尾の車両に乗車します。

東京ディズニーシー・ステーションを出ると右へカーブします。
すると後方にディズニーリゾートラインの車両基地が見えてきます。
何本ものコンクリート製の太いレールが並ぶ姿は圧巻です。
奥の方にはTYPE-C(100形)の最新車<ブルー>の姿も。
デビューに向けて準備中のようです。

車両基地で出番を待つTYPE-C(100形)の第3編成<ブルー>(右側)

やがて右手からJR京葉線の線路が近づくと
リゾートゲートウェイ・ステーションへ。
一周約13分。ミニトリップの終着です。


ディズニーリゾートライン20周年記念企画展

2022年3月までの期間限定で開催中の開業20周年記念企画展。


リゾートゲートウェイ・ステーション構内で開かれており、
ディズニーリゾートラインを利用する方は誰でも自由に見ることができます。

まず目に飛び込んでくるのが、
中央に展示された新型車TYPE-C(100形)の模型
実物の1/10のサイズです。
今回が初の一般公開だそうです。

横のパネルには新型車TYPE-C(100形)の設計時に描かれたコンセプトスケッチも。
こちらも初公開。

奥にはディズニーリゾートライン20年間の歴史を描いたパネル。
パークの周年イベントや季節のイベントに合わせ、期間限定の塗装が施された車両の写真、過去発売された記念きっぷの写真などが並べられています。
中でも期間限定で取り付けられていたつり革は実物が展示されており、目を引きます。
他にもキャストの制服の変遷やデザインを紹介するパネルなど貴重な資料を見ることができます。


まとめ

<パープル><グリーン>の残り2編成となった従来車TYPE-X(10形)

新型コロナウイルス感染拡大の影響で乗客数が減り、
厳しい状況が続くディズニーリゾートラインですが、
その逆境を感じさせないキャストのみなさんの笑顔とパフォーマンス、
そしていつも通り走り続けるディズニーリゾートラインに元気をもらいました。

さらなる進化を続けるディズニーリゾートライン。
従来車のTYPE-X(10形)の置換えは2024年までに完了する予定。
残りの限られた時間のあいだに、
新型車TYPE-C(100形)との「乗り比べ」を楽しみに
乗車されてはいかがでしょうか?

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

写真・文章/吉田行徳