アジアのモノレール~日本の跨座式モノレールが大活躍

アジアのモノレール~日本の跨座式モノレールが大活躍

2022-01-21 0 投稿者: mjws編集

モノレールの運行は、都市の交通利便性や観光地の活性化などに役立ち、コンパクトな空間を効果的に活用できるモビリティとして、世界各国で幅広く活躍しています。

中国、重慶軌道交通2号線 (c)shutterstock

モノレールは、建設コストの面やロケーションに合わせた建設が可能な輸送システムとして、自然の条件や都市形態などの需要に応じたシステムを構成することができます。

モノレールの歴史を振り返ると、その経験と技術を備えた日本の日立製作所がモノレールの建設に大きな役割を担ってきたのがわかります。

鉄道廃線 万国博モノレール Monorail of EXPO’70
(種別は鉄道にして、日本跨座式モノレールの第1号路線)

日立が提案した跨座式モノレールは、日本国内以外でもアジア各国の都市機能の向上に貢献しアジアの人々の暮らしに役立っています。今回は、モノレールの中でも、日本の跨座式が導入されているアジア各国のモノレールについて紹介して行きましょう。


●韓国のモノレール

大邱(テグ)都市鉄道公社3号線

大邱(テグ)都市鉄道公社3号線 (c)shutterstock

大邱広域市の交通渋滞や交通不便を解消するために整備された韓国初のモノレール。日本の日立製作所が提案した日本跨座式のモノレールが導入されています。
日本跨座式モノレールとは、車両の下に設置されたに車両が乗る形態のモノレールで、高速走行でも安定性を確保できるのが特徴です。
「大邱都市鉄道公社3号線」は、日立が提案した海外モノレールとしては、中国・シンガポール・ドバイに次いで4カ国目の車両となります。
車両は黄色いラインカラーが特徴的な3両編成で、デザインは慶北大学デザイン学科教授の提案から大邱市民の投票によって選ばれています。
また、自動列車運転装置(ATO)による無人自動運転には、非常事態に備えて乗務員が乗車しているようになっており、安全設備や降雪地域の大邱広域市に合わせて、堆雪防止、凍結防止設備など整備されています。車内アナウンスは英語と韓国語、区間によっては中国語と日本語が流れ、グローバル対応となっています。

・路線:漆谷慶大病院駅~龍池駅 30駅 23.95km
・開業:2015年4月23日
・所在地:大邱広域市
・運営:大邱都市鉄道公社


●中国のモノレール

重慶軌道交通2号線

山裾を行く2号線車両 (c)shutterstock

中国初の都市型モノレール。通称、重慶モノレール2号と呼ばれています。重慶市の起伏の激しく岩盤の固い地形に合わせて、地下鉄ではなくモノレールの建設が構想されました。
中国の長春軌道客車と日本の日立製作所がプロジェクトに携わっています。車両方式は跨座式(日本跨座式)で4両編成。
停車駅の中でも李子壩駅は、マンションのビルの壁を通り抜ける駅として有名。ビルの6階7階が駅になっているという珍しい構造になっています。

重慶軌道交通2号線 (c)shutterstock

・路線:較場口駅~魚洞駅 25駅 31.3km
・開業:2004年11月6日
・所在地:重慶市

重慶軌道交通3号線

重慶軌道交通3号線  (c)shutterstock

ギネス世界記録で認められた世界一長い距離を走るモノレール。通称、重慶モノレール3号と呼ばれています。
重慶市の地形により建設は難航しましたが現在は、乗員容量も世界最大となるモノレールの運行が実現し、最大1800人乗員可能となっています。
車両方式は跨座式(日本跨座式)で6輛編成と8輛編成。ブルーラインカラー。

・路線:魚洞駅~江北機場T2航站楼駅 / 碧津駅~挙人壩駅 45駅 67.09km
・開業:2011年9月29日
・所在地:重慶市


●マレーシアのモノレール

KLモノレール

KLモノレール  (c)shutterstock

マレーシア初の跨座式モノレール。着工は日本の日立製作所が係わり、竣工はマレーシア国内企業が製造と建設を請け負って開業となっています。
車両は4両編成で白地に赤いラインカラー。クアラルンプールの繁華街にあるKLモノレール駅ブキッ・ビンタン駅は、人気のファッションビルに直結していてアクセス便利な構造になっています。
マレーシア国内では、KLモノレールの開業によって交通機関の利便性や渋滞解消が解消し、都市機能向上に繋がっています。
また、モノレールがマレーシア国民のニーズにあった交通機関として認知度が広まっています。

KLモノレール  (c)shutterstock

・路線:KLセントラル駅~ティティワンサ駅 11駅 8.6㎞
・開業:2003年8月31日
・所在地:クアラルンプール
・運営:ラピドKL


●シンガポールのモノレール

セントーサ・エキスプレス

セントーサ・エキスプレス  (c)shutterstock

シンガポール島とセントーサ島を結んで運行されている跨座式の小型モノレール。
シンガポールのセントーサ開発公社が、日立製作所に発注した都市交通向け無線信号システム(CBTCシステム)のモノレールです。
CBTCシステムの導入によって、無線による車両位置情報や制御情報の伝達が可能となり、設備費・維持費が削減でき、安全で良質の運行が実現しています。
セントーサ・エキスプレスの運行は、シンガポールの観光地セントーサ島と本島を結ぶ交通手段として観光地開発に大きな役割を担っています。
4つの駅を往復する車両は、大型ショッピング・センター「Vivo City」の3階に直結するヴィヴォシティ駅から、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールの最寄り駅リゾート・ワールドへ、
そしてインビア~ビーチと運行されています。乗車料金はヴィヴォシティ駅で乗車する時のみ料金がかかり、その他の駅では改札がなく無料となっています。

・路線:ヴィヴォシティ~ビーチ 4駅 2.1km
・開業:2007年1月15日
・所在地:シンガポール島~セントーサ島
・運営:セントーサ・デベロップメント・コーポレーション


●まとめ
モノレールシステムの導入は、都市化の進むアジア各国の都市機能を誘導し、交通渋滞の緩和や観光地の移動手段として、ロケーションによる課題を超えて活用されています。
そこには、日本式跨座式モノレールのシステムが提案され、日本の技術がアジア諸国へと展開されています。