大阪モノレール彩都線延伸計画ルートの今

大阪モノレール彩都線延伸計画ルートの今

2021-11-18 0 投稿者: mjws編集

こんにちは!MJWSです。今回ご紹介するのは、大阪モノレールの彩都線延伸計画ルートについて。

当チャンネルでは、これとは別に進行している 大阪モノレールの本線における延伸整備計画、瓜生堂延伸ルートについて、定期的なトピックスの紹介を実施しています。実は大阪モノレールの延伸整備計画は、この瓜生堂の他に、支線である彩都線にも短距離ながら存在していました。これが、大阪モノレール彩都線東センターまでの延伸計画です。といっても、同延伸ルートについては、2017年1月27日に、大阪府によって中止が決定、公表され現在では存在しません。

大阪モノレール彩都線 彩都西駅から中部駅、東センター駅までの2.2kmを繋ぐ予定であった現在は未成線となってしまったルートです。

未成線とは、計画はあっても、諸事情により建設される事のなかった鉄道路線等の事を言います。日本国内ではモノレール開発黎明期、多くのモノレール建設計画が連立し、実現しなかったいわゆる未成線が多く存在しますが、彩都線の延伸部については、都市計画や設計まで進んでおり、比較的実現に近い未成線ルートでした。

大阪モノレールでは、既存の門真市駅から瓜生堂付近までを繋ぐ延伸計画が決定し、今現在工事が進められていますが、こういった華やかな都市計画決定の裏で、近年、実はこうした幻の路線がひとつ誕生していました。今回は、この未成線ルートの路線概要と、現地の今現在の様子をお伝えしていきたいと思います。

大阪モノレールでは2019年3月19日、遂に大阪モノレール瓜生堂までの8.9kmの延伸が特許され、2021年からは実際に現地工事が開始されています。同延伸ルートは、本年より2028年まで工事を行い、10年後となる2029年に延伸部が開業を果たす事となります。

しかしながら、この瓜生堂までの延伸が特許された 記念すべき2019年、大阪モノレールに関連するひとつの延伸ルートが計画を中止、つまり未成線となった事をご存知でしょうか。

それが、大阪モノレール彩都線、彩都西駅から、仮称 中部駅および 仮称 東センター駅までの2.2kmの区間です。

大阪モノレール彩都線を行く車両

この延伸計画の起点が、現在の彩都線の終点である彩都西駅。彩都西駅は プラットフォーム階が人間を主体として、マイナス1階層、コンコース階がGL層として配置された珍しい駅舎構造となっています。なお、大阪モノレールでは、将来の6両編成化に備えて、既存駅舎の多くを6両編成用のサイズの駅舎として建築していますが、彩都線の豊川駅 および彩都西駅については、6両編成化の余地を残しつつ、4両編成駅舎として建設しています。

これは、彩都地区、当時 国際文化公園都市という名称で開発が開始された同地区の開発主体であった、現UR等との契約に関連するものとなっていますが、大人の事情も絡んでくるため、今回の動画ではここまでの紹介にとどめます。

さらに余談ですが、今回の延伸ルート、東センター駅までの延伸 と、センターとう名称が多く出てきますが、彩都西地区の配置された、現在いる彩都西駅も、都市計画の立案時は 仮称 西センター駅という名称で呼ばれていました。

軌道末端部側に移動してみましょう。彩都西駅の軌道末端部側には この様に将来の延伸を見据えた上下線 および折返しのための引き込み線 それを采配する分岐器 これらのシステムで構築されています。引き込み線もさることながら、上下線は道路の高さよりも明らかに低い位置に設置されている事がわかります。このままでは壁に激突してしまいそうですが、実はここからが、彩都線延伸ルートの見どころと言っても過言ではありません。

大阪モノレール彩都線は、そのほとんどの区間を茨木箕面丘陵線という都市計画道路に帰属します。この茨木箕面丘陵線と区間を共にする部分では、その標高差は実に100m近くにもおよびます。特に、現在の終点駅である彩都西駅から 中部駅、東センター駅の位置する場所は、この標高が最も高いところに位置しています。

彩都線の高低差

大阪モノレールの軌道ルートは、この標高差からの影響を最小限とするため、彩都西駅軌道末端部に代表されるように 掘割構造や地下区間でのルートを主体としています。特に、当延伸計画では、大阪モノレールでは実績の無い地下駅の設置が計画されていました。彩都西駅から新設される予定であった中部駅や東センター駅は、いずれも地下構造で建設や設計が進められていた事も、同延伸計画の特徴となっています。

大阪モノレール彩都線中部駅断面図

なお、彩都線延伸ルートの全体間を網羅する模型が、彩都西駅から歩いてすぐのところにある、きゅーぶいーさいと さいといんふぉみゅーじあむと呼ばれる施設に設置されています。実は以前にも同模型の見学に伺ったのですが、彩都線延伸部の中止を受け、模型内の東センター駅周辺の建物や、当然モノレール駅も撤去されていました。

大阪モノレール山手台車庫も造成されていた模型

いずれにしても、彩都地区を一望できる立派な模型ですので、興味のある方はぜひ、一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

さて、ここからは延伸ルートについてご紹介します。軌道線である大阪モノレール彩都線は、彩都線中間駅となる阪大病院前より彩都西駅および延伸するはずだった東センター駅まで、都市計画道路、茨木箕面丘陵線を走ります。未成線となってしまった、延伸ルート 彩都西駅以北では、彩都西ランプを過ぎた地点で、片側1車線、上下計2車線の道路となっています。

実は、彩都西駅以北の茨木箕面丘陵線は、現在暫定供用の区間となっていて、西行きの片側2車線を上下1車線として使用しています。画像に映る上下2車線道路の左手に、将来東行きの2車線が追加整備される計画で、元々の都市計画においては、この上下線の間にモノレールの延伸ルートが整備されるはずでした。

茨木箕面丘陵線

彩都西駅を出たモノレール軌道は、掘割構造で進んだ後、茨木箕面丘陵線の上下線より若干標高を下げた位置を進んでいき、次駅となる中部駅手前でトンネル区間へ突入し、地下駅として配置される予定だった中部駅に至る予定でした。このため、画像付近からモノレールの軌道は見えず、モノレール車両が通行した場合、ほぼモノレール車両の屋根が見える感じになっていたと推定されます。

そうこうしていると、大阪モノレール彩都線 幻の中間駅、中部駅の位置に到着します。中部駅はプラットフォーム階は画像の地下部分、その上の階層に茨木箕面丘陵線、二階層部分に駅の改札が配置され、右手の広場に設置が予定されていた駅前交通広場まで渡り廊下で繋ぐ計画でした。

こちらが駅前の交通広場になる予定だった場所で、造成時はアスファルト舗装が成されていましたが、今現在は工事に伴う盛り土が山の様に積まれています。

さて、この中部駅以降、東センター駅予定位置まで、現在道路が整備されていません。つまり、ルートに沿った散策は不可能となっています。茨木箕面丘陵線が配置される線形には、この様に法面が整備されているため、おおよそのイメージ感はつかめる様になっています。

これ以降は、自動車で見てまわれる箇所がほとんどない事から、この後、東センター駅のさらに先に設置が予定されていた山手台車庫用地の観察に向かいました。

大阪モノレール彩都線では、もともと東センター駅までの設置が基本の計画となっており、前線の延伸が完了した場合、彩都線で使用するモノレール営業車両の留置等を担う、新たな車庫の設置が予定されていました。それが、大阪モノレール山手台車庫です。

大阪モノレール山手台車庫の現在の様子

大阪モノレールでは現在、門真市駅から瓜生堂までの9kmの延伸工事が進められていますが、この延伸に伴い増備される営業車両を収容する新たな車庫が瓜生堂に設置されます。実は大阪モノレールでは、この瓜生堂車庫の設置計画以前に、主に彩都線用となる山手台車庫の設置がほぼほぼ決定していました。つまり、彩都線の中止に伴い計画こそ無くなってしまったものの、一時的に大阪モノレールでは3つの車庫を保有する計画あったという事になります。実際、過去に山手台車庫が位置する東部地区の造成工事では、工事現場に施工図が掲載されていて、そこにはしっかりとモノレール車庫という文字が記載されていました。

ここから少し余談になりますが、実は 大坂モノレール社の初期の会社パンフレットには、この彩都線の延伸ルートだけでなく、山手台車庫についても記されていたほど、実現すると考えられていた計画だったのです。もっとも、1990年に 千里中央駅から南茨木間が開業した際の 大坂モノレール社のパンフレットに記載されていたものですので、今となっては知る人ぞ知る といった情報になりつつあります。当時のパンフレットは表面に会社案内、裏面が大坂モノレールの営業路線 および彩都線の計画ルートが記されており、今回紹介する彩都西駅から東センターまでの延伸ルートはおろか、万博記念公園駅から 彩都西駅のルートも 計画路線として示されていた時代。当時は、同延伸計画ルートが中止になるとは、夢にも思っていませんでした。山手台車庫については、当サイトでも頻繁に使用する単語となっており、今では比較的容易に検索で調べることが出来るようになっています。 、が、いっときは 調べてもなかなか出てこない 謎に満ちた単語 となっていました。都市計画決定まで完了しつつ、中止が決まったことで、施工図からも文字が消えていく車庫というのは、比較的珍しいのではないでしょうか。

なお、こちらが当初、山手台車庫とこの奥に位置する事となったはずだった、東センター駅とを繋ぐトンネル区間の出口にあたる区域となっています。

もちろん計画は中止となっており、ここにトンネルができることはありません。彩都線の延伸は、都市開発と一体となった整備を前提として、これまでの軌道線としてのモノレールの建設の流れとは少し違うアプローチを組んでいました。彩都中部に続き、本格的に造成のスタートを切った彩都東部では、この地区の造成に並行する形で、山手台車庫の用地の造成も進んでいました。しかしながら今回、残念ながらこの延伸ルートは計画を中止する事となってしまいました。

といったところで、今回はここまで。大阪モノレールについての各種の延伸計画については、今後継続的に取材を続けていきます。引き続きお付き合いいただけますと幸いです。それではさようなら。