町田・相模原経済同友会 第136回例会にて講演を行いました

町田・相模原経済同友会 第136回例会にて講演を行いました

2024-02-22 0 投稿者: mjws編集

多摩都市モノレールの現状と町田方面延伸をテーマに

2024年2月15日、レンブラントホテル東京町田にて開催された、一般社団法人 町田・相模原経済同友会 第136回例会において、Monorails of Japan web site(MJWS)代表の田村拓丸が講師を務めました。演題は「多摩都市モノレールの現状と町田方面延伸」で、同会の事業報告にも、北九州モノレールの事例を参考に、町田延伸の開業までのスキームやルート、経済波及などをデータで説明しました。(一般社団法人 町田・相模原経済同友会 – 町田・相模原の経営をリードする)

今回の講演では、多摩都市モノレールの現状や町田方面延伸の意義に加え、モノレールが実際に開業するまでには、どのような制度上・事業上のプロセスが必要になるのかという点を重点的に解説しました。

講演の様子

町田市は、市内の鉄道駅が市域の外縁部に位置していることから、市内を東西・南北に移動しやすくする新たな公共交通システムが必要であると説明しています。また、町田市公式資料では、モノレール延伸にはまず導入空間となる道路整備が必要であり、支柱・軌道桁・駅などのインフラ部は道路を管理する者が整備し、車両や配電設備などのインフラ外部は多摩都市モノレール株式会社が整備する仕組みであることも示されています。

講演では、この仕組みを踏まえ、町田延伸が単に「線路を伸ばす」事業ではなく、道路整備、都市計画、軌道法に基づく特許、工事施行認可、用地取得、駅周辺まちづくり、車両・電気設備の整備、試運転、開業準備といった複数の段階を積み重ねる長期事業であることを説明しました。

また、過去の都市モノレール整備事例として、北九州モノレール、千葉都市モノレール、多摩都市モノレール本線などを取り上げ、それぞれが計画決定から開業までにどの程度の年月を要したのかを比較しました。北九州モノレールでは、1976年に北九州高速鉄道株式会社が設立され、同年に軌道事業特許を取得し、1985年に営業開始しています。つまり、事業会社設立・特許取得から開業まで、およそ8年から9年を要しています。

千葉都市モノレールでは、1976年度にマスタープランが策定され、1977年に導入が決定、1981年に軌道運輸事業特許取得および都市計画決定、1988年に第一次開業を迎えています。こちらも、事業化の決定から開業まで約11年、特許・都市計画決定からでも約7年を要した事例と見ることができます。

このような実例を踏まえ、講演では、町田方面延伸についても、事業化から開業までは一定の年月を要することを説明しました。仮に今後、事業化に向けた調整、都市計画、軌道事業特許、工事施行認可、道路整備、本体工事が順調に進んだとしても、開業までには少なくとも10年前後の期間を見込む必要があります。さらに町田方面延伸では、導入空間となる道路整備や沿線まちづくりとの一体化が重要になるため、実際の完成時期は、行政手続き、用地取得、財源調整、需要創出に向けたまちづくりの進捗に大きく左右されます。

東京都のルート検討委員会が示した想定ルートB案を紹介する講師 田村拓丸(MJWS)

東京都のルート検討委員会では、町田方面延伸についてB案を基本とし、地元市に対して沿線まちづくり構想の策定など、需要の創出に資するまちづくりの深度化を促す方針が示されています。同時に、まちづくりの深度化や収支採算性の精査を進める必要があることも示されており、町田延伸がすでに完成時期を確定できる段階にはないことも講演の中で説明しました。

一方で、同じ多摩都市モノレールの延伸計画である上北台〜箱根ケ崎方面では、2025年5月に軌道事業特許を取得し、2030年代半ばの開業を目指すと発表されています。これは、特許取得後も開業までさらに10年前後を見込んでいることを示すものであり、町田方面延伸のスケジュールを考えるうえでも重要な比較材料になります。

導入ルート上の都市計画道路の現状について説明・都市計画道路名称の番号付与ルールについて補足 (講師 MJWS田村拓丸)

そのため、講演では、町田方面延伸の完成時期について、単純な希望的観測ではなく、過去のモノレール整備事例と現在の制度手続きから逆算して考える必要があると説明しました。現実的には、今後の事業化がどの時点で明確化するかによって大きく変わりますが、各手続きが円滑に進んだ場合でも、開業時期は2030年代後半から2040年前後が一つの目安となり得ます。逆に、道路整備や沿線まちづくり、収支採算性の整理に時間を要する場合は、さらに後ろ倒しとなる可能性もあります。

町田・相模原地域にとって、多摩都市モノレールの町田方面延伸は、単なる交通機関の整備にとどまるものではありません。町田駅周辺、木曽山崎・忠生・小山田方面を含む沿線地域のまちづくり、商業、観光、住宅、企業立地、地域間交流に関わる重要な都市政策です。

講演では、延伸実現に向けて行政手続きや事業スキームの理解が必要であると同時に、地域側の機運醸成も不可欠であることを強調しました。町田市も、モノレールが通るには長い年月がかかるとしたうえで、市民に「モノレールが町田に来てほしい」と盛り上がってもらうことが、延伸に向けた大きな力になると説明しています。

MJWSでは、今後も国内外のモノレールに関する情報発信に加え、多摩都市モノレール町田方面延伸をはじめとする地域交通とまちづくりの動向について、専門的かつ分かりやすい形で発信してまいります。

モノレールは、単なる乗り物ではなく、都市の将来像を形づくるインフラです。町田・相模原地域における多摩都市モノレール延伸の議論が、地域の未来を考えるきっかけとなるよう、引き続き情報提供と発信を続けてまいります。